「みんな起きろ!」と私は叫びました。
「あ、社長が来た。気持ちよく寝てたのに!」
私が会社に着いたら数名の社員が居眠りをしていました。
会社を始めた頃で、私は30歳ぐらいの話です。
社員の意識が低く悩みました。
例えば、私が言ったこと全てに反発する社員。
「どうして素直になれない?」と聞いたら彼は「社長はどこの大学ですか?」と聞いてくる。・・・・そこか!
私の陰口を言っている社員。
「この前、社長が会社の近くを自転車でデートしてた!」・・・・なんでやねん!
記憶喪失の社員。
朝、「はいわかりました」 夕方「何でしたっけ?」・・・・ホントに病気?
頑張って仕事をする社員もいましたが、半数はこんな感じでした。
「どうして言うことを聞いてくれないのだろう?」
私は毎日、社員のことで悩みました。
ストレスで気がつけば毎晩、お酒を飲んでいました。
そんな状態が最初、数年続きましたが徐々に、社員の質が上がってきて悩むことが少なくなってきました。
今は、どうか。
少し前、女性社員が勤務中に交通事故を起こしました。
私は慌てて現場に駆けつけました。
路上に事故で放置した車を見つけました。
彼女の姿は見えませんでした。
車の中を覗いてみるとフロントガラスにヒビが入っていて、頭を強打したようです。
さっそく入院先の病院を知ろうと思い警察官に聞きました。
「入院先はどこですか?」
警察官、「仕事に行かれましたよ」
え!
電話をかけてみたら本当に仕事をしていて、すぐに病院に行くように言ったことがありました。
今、どの社員をとってもやる気があり、お客様のために一生懸命に働き、社長として本当に感謝しています。
自慢の社員達です。
創業当時、社員の質が悪いと思っていましたが、今思えば社員は悪くなく、私が社長としての質が悪かったのだと反省しています。
その当時は「給与をちゃんと出しているから社員は、私の指示に従って働いて当然!」と思っていました。
そこには社員対しての思いやりや、愛情はありませんでした。
また人というのは理屈では動かない。
感じて動くものだ。
だから「感動」ということばがあるが「理動」という言葉はない。
そんなことも当時はわかりませんでした。
ある時期から、そのことに気付き始めました。
まず、社員を愛そう。
しかし、自分に対して反感を持っていたり、私の陰口をたたいている社員を愛することは、なかなか大変なことでした。
まるで、私にとっては、大の苦手なグリンピースとセロリを好物にしたり、蛇とムカデをペットで飼うような感じでした。
ずいぶん悩んだ末、「人間はいろんな面があり長所もいっぱいあるはずだ。 今まで社員の短所ばかり見てきたけど、まず長所を見つけてそこを見よう」と決めました。
そうすると、いろいろ見えてきました。
例えば、先ほど出てきた記憶喪失の社員。
彼は「何事も根に持たない(記憶喪失?!)穏やかな性格」だとわかりました。
そんなふうに社員を見だしたら、社員が私を見る目も徐々に変わってきました。
私自身も社員に対して思いやりや愛情が徐々に深まっていきました。
「人は鏡」と言いますが、そのことを私は体験しました。
同時に自分自身が成長することで周りの景色が変わってくることもわかりました。
みなさんはどんな景色が見えていますか?
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