どんなことでも…
競争相手に勝ちたい!
—と思うことはありませんか?
御多分にもれず、私もそう思う人間のひとりです。
日本には「競争」がない世界もあるかもしれませんが、でも「競争」は社会の中で重要な役割があると思っています。
例えばスポーツの世界では、いつも勝ち負けや順位があり、選手はやはり結果を求めて技術の向上に余念がありません。現在、MLBで活躍する大谷翔平選手の結果からは、毎日目が離せませんし!(笑)
例えば企業間の競争においては、「ライバル企業に勝たなければ!」と、各企業が日々しのぎを削っています。
この企業間競争においての「競争」は、複数の企業が消費者に対して同種の商品を供給している状態かと思います。この状態は、消費者から見れば購入先の選択肢が複数ある状態ですし、企業から見れば消費者に自社の商品を選択してもらえるように企業努力をしなければならない状態を意味します。
その企業努力は、消費者の求めるニーズに対応しサービスや品質の向上、生産の合理化や技術向上など、企業努力を通じて競争力が強化されます。
このように企業努力に複数の企業が取り組み、多くの業界において同様の状態が生ずれば、当該企業の成長・業界の発展や拡大がもたらされますし、それが国全体の経済成長をもたらし、国際競争力も強化されます。
やはり経済成長には「競争」は欠かせません。
私自身、競争に勝ちたい!スポーツなら上手くなりたい!とか、単純に思い、ライバルのミスを喜んだり、それを願ったりすることがあります。でも「利他」の思いに基づいて考えると、そんな自分に嫌気がさすことがあります。
「利他の思い」からの気づき
そんなことを考えていたら、私は「ハッ」としました。
会長の味岡が過去に話題にしていた、ゴルフのタイガーウッズ選手の話を思い出しました。
競合相手がいいプレーをしてくれることを望んでいます
彼がインタビューで語っていたのは、いつもライバルがショットを打つときに、「入れ」「いいところにいけ」と願っている、というのです。
これはスポーツマンシップの美談として語られることが多いのですが、実は脳科学からみると本人が有利に戦うための術なのです。
ゴルフは通常3人か4人でプレーするスポーツです。自分以外のメンバーは目に見えるライバルとなりますが、ここでゴルフ特有の自分との戦いが出てきます。
ライバルのプレーで、「バンカーに入れー」とか「このパター外せー」とかライバルのミスを願うことばかり考えていると、ホールが進むにつれて自分も「外せ」に強く反応を示すようになってしまうそうです。
逆にタイガーの心理のように、ライバルのショットに「いいところにいけ」や、パターが「入れ」と願うようにしていると、精神的にも優位に進められるそうです。脳みそは主語を認識しないそうで、自分のプレーにも影響すると。
先ほども申し上げた、自分との戦いでライバルのミスを願う目に見えない自分のその心が最大のライバルになり、自分自身を失墜させる最大の原因になってしまうようです。
ビジネスの世界でも、ライバルとの戦い方はこれまでの話と違いはありません。
ライバルは競争相手であることは事実です。ここで間違ってはいけないのが、敵とライバルの違いです。
敵は、自分の商品を顧客に購入頂きたいと思うときに、自分たちの商品以外にお金や興味を惹かせるモノやコトになります。
スポーツの話からいけばライバルは同業者で、業界を共に発展させようとするために切磋琢磨する同志的存在と考えられるようです。
また、ライバルは長い人生で社内にも社外にもいますが、やはりライバルの活躍や失策は気になるところです。このようにライバルの存在はいつも頭をよぎりますが、行き過ぎたライバル心から疲労にもなります。ライバルは自分でコントロールできないので、意識しすぎないことも大事です。
このようなことから、心の中で同業のライバルがお互いに活躍を祈ることが重要でしょうし、ライバルはお互いが見落としている情報などに対して貴重な情報源であることもあるでしょう。
こういった考え方は、江戸時代中期に日本各地で活躍した近江商人が信用を得るために大切にしていた
- 買い手よし
- 売り手よし
- 世間よし
という「三方よし」の精神に似ていますね。
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