時代の流れで変化する労働市場
社会には様々な人が労働という市場の中で出会いを求めています。
ある企業担当者様と
最近はなかなか高卒の採用が出来ていないんですよー。高卒就職者の求人倍率が最近むちゃくちゃ高いんですよね。
少子高齢化とひとくくりにしてはいけませんけど、その要因に加えて大学などへの進学を目指す生徒が増えましたので、高卒での就職希望者が減っているのは確かですよね。
というような会話をつい最近したところです。
数字に表れる変化
この現象は、ある調査からも数字で表されています。
高卒は2008年度が3.2万人に対して2024年度が1.9万人となり大きく減少しました(図表1)。
2009年3月卒の高卒就職希望者数は17.8万人、これに対して直近2024年3月卒は12.1万人だったそう。
ただ、大卒での民間企業就職希望者は2002年卒以降概ね一貫して45万人前後だそうです。
図表1 学歴別の大手企業新卒採用数(※)
大手企業の採用にも変化
そんな中、かつて大手企業は中途1:新卒9という単年採用割合でしたが、近年、中途採用数を増やしていて、ほぼ5:5になりつつあるんです。
中途採用シフト論が叫ばれていて、確かに図表2のとおり、大手企業の中途採用数は急速に増加しています。2024年度計画は、わずか3年前の2倍以上の水準に達しています。
図表2 主要企業の採用予定人数の推移
主要企業の中途採用は確かに増加していますが、それは「新卒から中途へシフト」というような話ではなく、新卒採用も極めて活況なので、正確に言えば「新卒も中途も」という企業の人材採用戦略が多様化しているということだと感じます。
人手不足とひとくくりにしてはいけませんが、採用市場はいろいろな手法で競争が激化しているのは事実ですよね。
中小企業にも訪れる変化
主要企業に限らず、我々のような地方の中小企業ではどうでしょうか。
同じような規模感の企業の経営者の方と話をしていますと、「以前に比べて明らかに労働者と企業の力の関係が変質しているよね」、とお聞きしたりします。
採用条件の見直しや初任給の引上げ、市場との格差を無くすために様々な手を打っているとお聞きします。
ただ、新しく採用する人だけではなく、現在自社で働いてくださっている労働者の条件を改善しなかったら、新規採用する人の方が良い条件になってしまうのではないか、ここも全体を見直さないといけない、といった声もよく耳にします。こういった取り組みは新卒・中途を問わず、個人の成長とキャリア形成を後押しするために、どんな人材育成や働き方の制度を設けているかで、働く人にとってのマインドの上昇に大きく影響するのではないかと感じています。
ここ数年で大手企業の採用手法が、中途採用を積極的に行って「新卒も、中途も」となってきた以上、中途採用を中心に行ってきた地方の中小企業の採用活動は、新たな取り組みなども検討していかないと今後更に厳しさを増すと感じます。
中には、過去に働いていた社員も「出戻り歓迎!」の求人を見かけたりもします。
ある調査では、約3人に1人の正社員が「過去やめた会社に戻りたいと思ったことがある」と回答があったともお聞きしました。
理由は「ライフステージの変化」や「退職後に会社の良い面に気づいた」などがあるようです。
会社側も教育コストの面や、企業文化の浸透に時間が必要ない面等、是非またご縁があればとなっていた社員が成長した姿で自社の環境に戻ってくれることを歓迎するといった考えも、企業によっては素晴らしい採用手法ですよね。
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