中国の採用事情
日本では人手不足時代が到来していますが、現在隣国中国でも例外ではありません。
中国の職業センターの調査によると、特に人手不足が深刻化しているのは製造業関連とサービス業関連の職種です。また、EC市場の拡大に伴う宅配・配送の業務が急拡大している中で物流業でも人手不足の苦境に陥っています。
少子高齢化は中国でも同じ状況で、人手不足の原因のひとつとなっています。
中国でも経済発展により製造業の就業者数は減少傾向になる一方で、医療・福祉や宿泊・飲食サービス業の就業者数が大きく増加しています。
日本より実力社会、弱肉強食社会と言われる中国。
日本では新卒者や第二新卒の就業者に即戦力は求めず、未経験は前提として採用していますが、中国では新卒者でも即戦力が求められるそう。
学歴やスキル、どこの大学か、仕事に関連する学部学科か、英語が話せるか、などが重視されます。
レベルの高い教育を受けている上位大学出身者であればあるほど、即戦力としてみられる傾向があるために、中国では大学選び、学部学科選びが人生を左右するほど大切と、以前にも少し触れたことがあると思います。
そういった若者は金融・情報などのホワイトカラーの仕事を求め、製造業・建設業などのブルーカラーの仕事は敬遠される傾向が高まっています。
中国人は、「大卒はホワイトカラー以外の道はない」というような、面子やプライドがあるようですが、ただ現実はホワイトカラーの求人倍率は1.0を切っており、ブルーカラーの求人倍率は1.0を超えています。
つまり大学を卒業しても、ホワイトカラーの仕事に就けない人材が増えていく状態にあるようで、卒業後に無職のままの人も珍しくなくなってきているのです。
中国の転職文化とジョブ型雇用
その他に、まだ終身雇用文化が残る日本とは違い、有期契約が主流となっている中国。
雇用契約は1年~数年単位の有期契約でスタートし、契約を更新していく
というのが一般的だそうで、新卒の場合初回の契約は1~3年程度で設定する企業が多いようです。
そうなればもちろん転職回数も多くなるわけで、事実、LinkedIn(中国語で領英、中国におけるユーザー数5千万人以上)の「2019人才流動和薪酬趨勢報告(人材流動と給与動向報告)」では、64.4%は「2年以内に会社を離れたいと考えている」という調査結果が出ています。
また、同じくLinkedInの過去のレポートにおいても、中国人の平均在職期間は2014~2015年は34ヶ月だったのに対し、2017~2018年は22ヶ月に減少しているとの報告があります。
2018年の国税庁による民間給与実態統計調査によると、日本人の平均勤続年数が12.2年ということを考えると、データ上でも中国人の転職回数はかなり多いことになります。
中国でも仕事のポジションに対して採用をするジョブ型雇用が多くあり、中国にある日系企業の多くもこの雇用方法を採用しています。
起業を目指す人も
更に、そもそも中国では政府が新卒の若者へ積極的に起業を勧めています。ですので、実際に起業した人、起業する予定のある人が多い傾向にあります。
行動力のある人や自立心の高い人材は起業という道があります。ですので、企業はそのような人材を採用したくても、世の中に行動力の高い人がいなくなっているといった現実もあります。
転職が当たり前の文化がある中国では、リファラル採用も盛んです。
Wechat(微信・ウィーチャット)を利用して、簡単に求人をシェアできたりします。
中国人も人と人のつながりを大事にしていることもあり、友人・知人から紹介された企業に一定の信頼をおいているようです。業界にもよりますが、中国人は同業界内で転職をしスキルアップを目指すと共に、人脈を広げていく傾向があるようです。
このようにおとなり中国では、採用一つにおいても日本と似ている点もあれば、文化や特徴の違いがハッキリしている部分もあります。
中国の社会の仕組みや当たり前と考えられていることの違いにより、転職自体はとてもポジティブなものと捉えられています。
かといっても、もちろん一つの企業で長く働く人もたくさんいます。
人口14億人が暮らす多様性の国、中国。
この春節期間中には前後も含め、期間中に移動する人は過去最多となる延べ90億人に上るという見通しを中国政府が発表しています。
先日は、中国のスタートアップ「DeepSeek」が公開した低コスト生成AIを発端に、世界のテクノロジー業界や株式市場にチャイナショックが広がりました。 こうやって優秀な人材も現れてくる中国。本当に経済成長も著しいです。
世界に負けずにどんどん成長!
こうやって他国の採用に関する特徴を知ることで、日本にも活かせることが必ずあると考えています。
隣国中国人のいろいろな活躍を聞くと、人間の力には本当に限界などないんだな、どんどん成長できるハズだ!と強く感じます。
我々日本人も優秀な人材との出会いを大切に、世界に負けずに成長していきましょう!
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